■子どもたちが「道端」で売っていたのは

 僕は2010年の南アフリカ・ワールドカップの後、ジンバブエに観光に行きました(「蹴球放浪記」第13回「滝を見に行く」の巻)。その頃には、もうジンバブエ・ドルは姿を消し、あらゆる取引が外国通貨で行われていました(実際に流通しているのは米ドルか南アフリカのランド紙幣)。

 そして、道端では子どもたちが外国人観光客に旧ジンバブエ・ドル紙幣を売っていました。この紙幣は、法定通貨として流通していた時代よりも土産物時代のほうが価値が高かったのではないでしょうか?

 現在、日本ではコメの価格が昨年の同時期に比べてほぼ2倍になるなど、物価高が庶民の暮らしを直撃していますが、これは通常のインフレーションの話。ドイツやジンバブエのようなハイパー・インフレーションというものは、まったく桁違いです。

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