後藤健生の「蹴球放浪記」第257回「ワールドカップとインフレ」の巻(2)日本代表「W杯16強進出」の裏で自国通貨が消滅、「1兆ドル紙幣をお土産として売っていた」アフリカの国の画像
コチラが噂の「1兆ジンバブエ・ドル」紙幣。提供/後藤健生

 世界経済をリードするアメリカのインフレが止まらない。日本も含めた地球規模の悪影響が懸念される中、蹴球放浪家・後藤健生の脳内では、「2つのワールドカップとインフレの記憶」が呼び起された。

■アフリカ南部で「12桁」の大規模デノミ

 ハイパー・インフレーションとして、第1次大戦直後のドイツと並んで有名なのが、アフリカ南部のジンバブエです。

 もともとは「南ローデシア」という英国植民地でしたが、1965年に「ローデシア共和国」として一方的独立宣言をした白人政権が人種差別政策を推し進めていましたが、1980年に黒人政権が発足。「ジンバブエ共和国」として独立しました。しかし、2000年頃からロバート・ムガベ大統領の独裁政権が白人が経営していた農園を接収し、多くの白人を国外追放したことで経済が破綻し、インフレーションが始まりました。

 途中で10桁、12桁という大規模なデノミが行われましたが、ジンバブエ・ドルの価値は下がり続けます。

 ジンバブエはドイツのような主要国ではありませんが、直近のハイパー・インフレーションだから有名なのでしょう。

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