同点弾を生んだ鈴木優磨の「想定外パス」と浦和DF陣の「致命的なミス」、失点を防ぐには【鹿島戦で分かった「17位・浦和レッズ」浮上のためのラストピース】(2)の画像
鹿島の同点弾を生んだのは、鈴木優磨の「技アリ」パスだった。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 2025年3月16日、鹿島アントラーズ対浦和レッズの試合が県立カシマサッカースタジアムで行われた。試合は、1-1の引き分けに終わった。鹿島のフォーメーションは「4-4-2」の中盤がボックス型。浦和は「4-2-3-1」のフォーメーションで中盤は三角形を組んできた。その試合を記事前半に続いて分析したい。
 試合を詳細に分析するために、試合のダイジェストにしたがって話を進めていく。読者の皆さんは、以下のDAZN公式ハイライトを見て、プレーの詳細部分を確認してもらえると、より分析への理解が深まることだろう。https://www.youtube.com/watch?v=GUAc23R7jew&t=2s

■右SB2人が「ボールウォッチャー」に

【54分のチアゴ・サンタナのシュートが外れた場面】

 浦和のマテウス・サヴィオが左サイドをドリブルで駆け上がる。ピッチの内側を左サイドバック(以後、SB)の萩原拓也がものすごいスピードで鹿島の2人の選手を追い越して走ってくる。センターバック(以降、CB)の植田直通がサヴィオをケアしに行っているのだから、鹿島のボランチの選手が戻って、ピッチの中をケアしなければならない。ペナルティエリア内に走り込む萩原にサヴィオがパスを出す。関川郁万がスライディングしてケアしにいく。ここでチアゴがペナルティエリアの真ん中にフリーで入ってくる。
 右SBの濃野公人と樋口雄太がボールウォッチャーになってしまっている。チアゴの存在に早く気づかなければならない。萩原はチアゴにマイナスのパスをダイレクトで出す。チアゴがトラップミスをして、ボールを足元に止めてしまう。そこで鹿島の2人の選手が戻ってきて、チアゴの前に立ちはだかる。あせって打ったチアゴのシュートはゴールを大きく超えて行った。
 チアゴの左にはサヴィオがフリーでいたので、トラップミスをした瞬間に切り替えてサヴィオにボールを出したほうがよかった。
 動画を見ればよくわかるのだが、サヴィオが両手を広げて「なぜボールをよこさない」とアピールしている。また、右には松本もフリーでいたのである。どちらかにボールを出したほうが得点の確率が高かったように見えた。
 

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