■「競り合いもしていない」ホイブラーテン

【89分の鹿島の知念慶の同点弾の場面】

 セカンドボールが転がった瞬間、浦和のディフェンダー(以降、DF)陣がラインを上げる。先に鈴木優磨がボールに触った。鈴木の目の前には濃野が立っていた。おそらく浦和の選手は、鈴木が濃野にパスを出すだろうと見ていた。しかし、右サイドにいた植田にパスを出す。植田からのクロスを知念慶が頭で合わせて土壇場で同点に追いつく。
 映像を見れば、知念のシュートがチアゴの頭に触れてゴールに吸い込まれたことがわかる。しかし、人数も足りていた浦和のDF陣が、この時間帯で人につくことができなくて相手をフリーにしてしまっているのは致命的なミスである。確かに、鈴木の体の向きでは植田へのパスは考えられなかったのだろうが、マリウス・ホイブラーテンがボールウォッチャーになって、知念と競り合いもしていない。
 ここを抑えられないようでは、なかなか勝つことができない。この時間帯では、DFは人について抑えておかないとならないのである。
 浦和は17位という順位ではあるが、戦い方は固まりつつある。戦い方とは、どうやって得点を奪っていくのかということである。一方で、守備の緩さは相変わらずだ。ゾーンで守っていたとしても、最終的に人につく守備をしないとなかなか失点は抑えられない。

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