■前田大然の1トップ起用も
となれば、森保監督が会見で名前を出した前田大然(セルティック)のスタメンというのがにわかに現実味を帯びてくる。もともと前田は2022年カタールW杯までは1トップ要員を位置づけられ、ドイツ・スペイン撃破に大きく貢献した選手。クロアチア戦でも先制点を奪っており、指揮官も存在感を認めている。だが、2023年以降、所属のセルティックで左サイドアタッカーのポジションが主戦場になったことから、代表でもそちらがメインになっていた。
とはいえ、左サイドにはご存じの通り、三笘薫(ブライトン)という絶対的エースがいて、2023年以降は中村敬斗(スタッド・ランス)も急成長している。前田も最終予選では4試合に途中出場し、9月の中国戦(埼玉)ではゴールを奪っているが、それほど長い時間を与えられているわけではない。本人も中途半端な立場から脱したいと熱望しているはずだ。
仮に今回、最前線で起用され、今季公式戦27ゴールという目覚ましい得点力をそのまま代表に持ち込んでくれれば、一気に1トップの主軸の仲間入りを果たすかもしれない。そうなれば、本人にとっても理想的だろう。
ただ、森保監督にしてみれば、「W杯切符を取るまではチームを動かしてバランスを崩したくない」というのが本音。上田が使えるのであれば、そのまま彼を先発で送り出すだろう。上田が最前線に陣取っていれば、クロスの競り合いでもある程度、勝てるし、ボールを収める仕事も守備面のハードワークも期待できる。2シャドウの南野や鎌田大地(クリスタルパレス)、久保建英(レアル・ソシエダ)らもやりやすいだろう。今の代表攻撃陣のユニットは上田がいる前提で作られている。その信頼を考えると、結局は上田に落ち着くのではないか。彼らFW陣には日本をW杯へと導くゴールを強く求めたいものである。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)