■きっかけを作った佐藤恵允
それでも終盤に東京がチャンスを立て続けに作る。そのきっかけを作った一人が佐藤恵允だった。
パリ五輪のメンバーにも選ばれていた23歳は、明治大学からJリーグを経由せずにドイツ・ブンデスリーガのヴェルダー・ブレーメンに加入していたが、今季は東京に完全移籍。そのスピードを生かして、チームに貢献していた。
「白井康介もそうですが、佐藤恵允がスピードに乗ってランニングをかけられた時にチャンスができていました。特に、湘南のペースになりそうな時も、佐藤恵允が攻撃にも守備にも一人で追いかけ回し相手にプレッシャーを与えることで、流れを変えようとしていました。
後半のラストのように、人数がある程度いた状態で前向きでランニングがかかってくると攻撃に厚みが増しますから、攻撃の他の時間帯でももう一人、二人絡んでくるとより期待が持てますよね」
前線で積極的なアクションを起こそうとする選手がいることは、東京にとってポジティブなこと。この試合は0-0で引き分けとなったが、次の勝利に期待が持てそうだ。
(語り:二階堂悠)
【にかいどう・ゆう】
1984年5月17日生まれ。宮城県出身。筑波大学大学院卒業後にメキシコ留学を経て、杭州緑城(中国)のコーチに就任。2014年からモンテディオ山形のコーチ、2017年から川崎フロンターレのコーチを務めた。川崎ではクラブの国内7冠達成に寄与し、24年シーズンを持って同職を退任した。