■「背後のスペース」をどうケアするか
山形は、前線のFWと最終ラインのDFの距離が開いている。なぜかと言えば、最終ラインが低いから中盤が間延びした状態にある。山形の守備の考え方として、この試合においては、中央のスペースを埋めるために真ん中に人を置いている。水戸にサイドからのクロスを入れられても、中央に人を置くことで跳ね返せるという考え方のように見える。
水戸の守備の課題として、両サイドバック(以後SB)が高い位置をとって攻撃を仕かける際に、必然的に生まれる「SBの背後のスペース」をどのようにケアするのかにあった。
2月15日の開幕戦のジュビロ磐田との試合(3-2で磐田の勝利)で見られたように、磐田は徹底的にSBの背後のスペースにボールを放り込んできた。磐田戦では、水戸の両SBが同時に高い位置をとって攻撃参加したときにできた、背後のスペースにロングボールを蹴られて失点につながっている。山形戦の見どころとして、水戸がこの部分を、どのようにテコ入れしてくるのかどうかにあった。
対策として大きく分けて2つある。一つ目は、リスクマネージメントを考えて両SBが同時に上がらないやり方である。たとえば、右SBが高い位置をとったら左SBはステイして、上がるのを自重する。最終ラインを左SBと左CBと右CBの3バックにして、右SBの上がった背後のスペースを三枚のDFがスライドしてケアする。2つ目は、SBが上がったなら、その背後にボランチが降りてきてスペースをケアする。
試合がはじまってすぐに水戸の答えが見えてきた。右SBの飯田貴敬と右サイドハーフ(以後SH)の津久井匠海が高い位置をとって攻撃参加したときに、ボランチの山崎が背後のスペースを埋めるポジショニンをしていた。山形が背後にボールを出してもすぐに、ボランチがボールを回収していた。こうしたプレーに関しても、水戸は徹底的にしつこくプレーしていたのである。
試合を詳細に分析するために、試合のダイジェストにしたがって、後編(2)では、話を進めていく。読者の皆さんは映像が埋め込まれた次のページ、もしくは、以下のDAZN公式ハイライトを見て、プレーを確認してほしい。https://www.youtube.com/watch?v=_-j2nU8tQdk