現・川崎F長谷部監督が水戸時代に築いた「原点回帰のシステム」が好調、「支えた」2人と陰の功労者、「生まれた」守備の穴【水戸VS山形戦で見えた「光明」と「課題」】(1)の画像
水戸を率いる森直樹監督(左)と今季からヘッドコーチに就任した林雅人コーチ。撮影/重田航

 2025年2月23日、水戸ホーリーホック対モンテディオ山形の試合がケーズデンキスタジアム水戸で行われた。試合は、1-0で水戸が勝利する。水戸のフォーメーションは「4-4-2」で中盤はボックス型。山形のそれは「4-3-3」で中盤が三角形を形成する。

■長谷部監督「以上」のシステムに!

 水戸の「4-4-2」のゾーンディフェンスは、原点回帰のシステムだと言える。現・川崎フロンターレの長谷部茂利監督が水戸で指揮を執っていたときに、西村卓朗ゼネラルマネージャー(以後GM)が長谷部氏に「4-4-2のフォーメーションでゾーンディフェンスをやってください」と注文したことがあった。長谷部氏は、西村GMの希望に沿って、その年の前半は首位を独走して、最終的にプレーオフ目の前までチームを押し上げた。その後、何人かの監督に引き継がれたチームは、可変式システムや3バックなどのやり方で上位を目指したのだが、チームは「現実」という壁に跳ね返された。今季の水戸の「4-4-2」のゾーンディフェンスは、長谷部氏が築き上げた以上のシステムになりそうである。それは、今年からヘッドコーチに就任した林雅人コーチの力も大きいように思われる。

 まず、試合を見ての感想は、水戸は前線のフォワード(以後FW)と最後尾のディフェンス(以後DF)の距離をコンパクトにしている。水戸のゾーンディフェンスを支えているのは、中盤の山崎(正式には「たつさき」)希一と川上航立のダブルボランチの存在である。
 前線の選手が相手DFにプレスに行くと、続けてボランチの2人が縦に移動して距離を詰める。最終ラインの選手もボランチの動きに連動してラインを上げることができる。水戸の攻撃に関しては、横幅を使って右から左に、または左から右にボールを移動させて、山形の守備のズレをうかがってくる。
 

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