大会を通じて上がった「チーム力」、全勝で勝ち上がってきた準決勝の相手の「弱点」【ワールドカップ出場権を獲得、サッカーU‐20日本代表「アジア制覇」への関門】(3)の画像
準決勝でオーストラリアと対戦するU‐20日本代表。これまで無敗の相手に勝てるのか(写真はイメージです)。 撮影/中地拓也

 サッカーU-20日本代表が、U20アジアカップでベスト4へと進出、ワールドカップへの出場権を手にした。苦戦続きだったチームがアジア突破を果たした理由と、頂点へたどり着くために必要なことは何か。サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。

■個人の「アイディア頼み」だった攻撃

 若い世代の選手にとっては、経験のすべてが財産だ。実際、この大会を通じてチーム力は確実に上がっている。

 シリアと引き分けてしまった頃は守備組織もできていなかった。どこで追い込んで、どこでボールを奪うのかという意識の統一が見られなかった。攻撃にしても、連係が悪く、個人のアイディア頼みだった。

 だが、韓国戦では大関友翔と佐藤龍之介のコンビネーションが改善されてボールがスムーズに回るようになり、左サイドでの髙橋仁胡と石井久継の立ち位置の変化で韓国守備を混乱させた。

 そして、イラン戦になるとパス回しはさらにバリエーションが増え、短いパスを回しながら機を見て深さのあるボールを相手陣内に突き刺せるようになった。

 守備面でも、最初から警戒はしていたようだが、サイドバックの裏を狙われたが、すぐにセンターバックの喜多壱也が髙橋のサイドをカバーするなど連係が良くなっていた。また、前線でのプレスをかけるか、リトリートすべきかの判断も的確だった。

 監督、コーチからの指示もあっただろうし、選手同士のコミュニケーションもあったのだろう。

 こうして、シリア戦での経験を生かしてすぐにプレーを改善させたのは素晴らしいことだ。若い世代のチームにとっては、ひとつ試合を経験すること、ひとつ勝利を経験すること、そして、ひとつ苦しい試合を経験することがすぐに糧となるのだ。そして、それをもたらすのは選手たちのインテリジェンス(知性)の高さということになる。

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