
連戦に紛れたサイレント変更だった。2月26日に行われた、川崎フロンターレがアウェイに乗り込んでのアビスパ福岡とのJ1リーグ第3節。試合開始2時間前に発表された先発メンバーは、それぞれ対象的だった。
互いに直近の試合から中3日とあって、選手の入れ替えは両チームである程度見込まれていた。特に川崎は、長谷部茂利監督がアビスパ福岡の監督時代から選手の大幅入れ替えを実施しており、10人規模での入れ替えも想定されていた。それを熟知しているのが福岡側だったが、長谷部監督がこの試合で入れ替えたのは2人だけ。“静”の意味で、想定と異なる選択をしてきたのだった。
対する福岡は“動”の選択を採る。アウェイでの前節から、金明輝監督は5人の先発メンバーを変更してきた。5人入れ替えたことでメンバー発表の時点では分かりにくくなっていたが、実は、システムも変更。今季のJ1リーグ・2試合で用いてきた4バックではなく、3バックとする奇襲を用いたのだ。
川崎側がそれに気づいたのはメンバー発表後のこと。この試合のために組まれた事前のスカウティングは4バックで進められていた。3バック対策は、“この試合のために”という意味では行われていなかった。