■右サイドだからこその「模索」

 1月7日の始動日の時点で、長谷部監督は3バックを導入するのではないかと思い、佐々木旭に、両ウイングバックと3バックの5つのポジションのどこでポジションを狙っていきたいかを聞いたところ、「まだ何も話はしていませんが、どのポジションでも求められるなら全力でやりたい」という強い意気込みが帰ってきた。
 その後、チームは4バックでチーム作りを進めることとなり、沖縄キャンプで佐々木はファンウェルメスケルケン際と右サイドバックを争うようになっていた。その前方に立つのは伊藤達哉。佐々木と伊藤の2人はその後も含めて左サイドでの練習をこなしておらず、戦術練習はすべて右でのもの。長谷部監督の中では最初から2人をこのサイドで起用するとしたうえで、チームを作っていったことになる。
 あるトレーニングマッチ後、右サイドで起用された伊藤に聞けば、「今まで左サイドで出ることが多かったので、右サイドはちょっとだけ……ちょっとだけっていうか、ぎこちない感じは自分の中ではすごくありました」と素直な心境を吐露したうえで、「左と右ではプレーの選択肢も変わってくるので、でも、やりながら感覚をつかんでいます。数をこなしたら慣れてくるし、右でも自分の良さを出せるようにしたい」と、川崎での自身の役割をつかみ取ろうとしていた。
 そしてその積み重ねの一端が、早くも浦項戦で出た。

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