■先手を取ったのは「ホーム水戸」

 まず先手を取ったのが、ホームの水戸だった。

 5分に中盤でボールを奪ってボランチの川上航立が左に展開したところから、鹿島がタッチに逃れてスローインとなり、スローインからのボールを川上から草野侑己につなぎ、草野がペナルティーエリア内で深い位置まで持ち込んでマイナスのクロス。受けた久保征一郎のシュートが鹿島DFの関川郁万に当たって、オウンゴールで水戸が先制した(得点は6分)。

 水戸はともに22歳の川上(立正大出)と津久井匠海のボランチ・コンビのところでボールを奪い、それを素早く前線につなぐというショート・カウンターの意識が徹底されていたが、その狙い通りの形からの攻撃が得点につながったのは、大きな収穫となるはずだ。

 また、右の村田航一、左の大森渚生の両サイドバックが交互に攻め上がって、サイドからの崩しやアーリークロスも的確で、その後も何度も得点機を作っていたが、シュートがバーに当たったり、鹿島のGK早川友基の好セーブに阻まれたりして追加点は奪えなかった。

 ただ、前述のように攻撃の狙いは十分に表現できていた。昨シーズンはJ2リーグ15位と低迷した水戸だが、鹿島という強豪相手に十分に上位を狙う力があることを示した試合だった(「目標はプレーオフの6位以内」と森直樹監督)。

 また、ボランチとして素晴らしいプレーを見せた川上をはじめ、大学出の新人選手ら若い選手が多く起用されたが(先発11人の平均が24.45歳)、チームとしての完成度も高いようで、仕上がりは順調のように見えた。

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