後藤健生の「蹴球放浪記」第250回「白い崖を見ながらの入国審査」の巻(2)クライフ経由イギリス行き「まぬがれた」長蛇の列の画像
船上での入国審査でもらった英国ビザ。「DOVER」とある。提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は世界中でサッカーを観戦してきた。試合のみならず、移動も含めて、すべてを楽しんできた。そんな蹴球放浪家が体験した「サッカー観戦がさらに楽しくなる」入国審査のススメ!

■明け方の「南米のパリ」

 僕にも船旅の思い出がいくつかあります。

 1993年にワールドカップ南米予選を見に行ったときには、ウルグアイの首都モンテビデオでウルグアイ対ブラジル戦を見てから、船に乗ってブエノスアイレスに向かいました。「海を渡って」ではなく、大河ラプラタを渡ったのですが、夜の船に乗って、明け方にデッキに出て眺めていると、高層ビルが立ち並ぶブエノスアイレスの都心が見えてきました。

 17世紀以来、スペイン系やイタリア系など多くの人たちが移民として新大陸にやって来るときにも、この景色を見ていたのでしょう(当時はもちろん摩天楼はありませんでしたが)。

 また、1985年の春に某財団が主催している「青年の船」という企画に講師として同行したときには「新さくら丸」という大型客船に乗ってシンガポールとバンコクを訪れました。バンコクはチャオプラヤ川沿いに造られた都市ですが、河口から大型船でチャオプラヤ川を遡ってバンコク港に到着したのです。船長の話では、やはり大型船で川を遡るのはかなり難しい操船技術が必要だということでした。

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