■景色と風情を楽しむなら「船旅」が鉄板
一方、景色と風情という意味では、船による渡航がオススメです。
近代以降、世界中の港湾都市が発展しました。
日本でも、古代や中世には飛鳥や平城京(奈良)や平安京(京都)などの都は、内陸に位置していました。海とは川によってつながっていました。大阪市内にあった難波宮や貿易港だった博多、兵庫など海に面した都市もありましたが。
一方、近世以降は豊臣秀吉が築いた大坂とか、徳川家康が大改造した江戸といった都市が海に面して造られます。名古屋や横浜もそうですし、いずれも海に面しています。物資や旅客を運ぶ船が大型化したため、川を内陸の都市までのぼって来ることができなくなったためでしょう。産業革命以降の工業地帯も臨海部に造られました。鉄鉱石や石炭、石油を大型船で運んでくるからです。
世界でも多くの港町が発展しました。
飛行機が一般の人たちにも使われるようになったのは、第2次世界大戦後のことです(最初は「一般の」といっても金持ちだけでしたが)。
それ以前は、海外旅行は船で行くのが当然の(唯一の)選択肢でした。だから、港町の正面は海に向かって開かれていたのです。横浜も、神戸も、門司港も、上海も、シンガポールも、ムンバイも、リスボンも、ニューヨークも、リオデジャネイロも、ブエノスアイレスも……、どこも海からアプローチするのが本来のアクセス方法だったのです。
だから、今でもこうした港町には、海で到着するのが正しいアプローチなのです。