■山田新、神田奏真にも映像でレッスン
先述したように、大黒氏は長谷部茂利監督によって新たに発足したフロンターレのスタッフ陣に入閣した。発表されたのは昨年12月15日のことで、クラブを通じて「ファン・サポーターの皆様、パートナーの皆様をはじめ、川崎フロンターレに関わるすべての皆様と共に、タイトルを取れるように全力で頑張ります」と意気込むものだった。
役職はトップチームのコーチで、ストライカーコーチではない。それでも、フランスリーグやセリエAなど欧州でも戦ってきた点取り屋だけに、川崎のストライカー育成への期待は大きい。
聞いてみれば、長谷部監督からのオーダーがあったうえで個別に映像を見せていたとのこと。
「神田くんもやりましたし、新もやりましたし、徐々に徐々に」
こう話すように、昨季19ゴールを奪って日本人得点王タイとなったFW山田新や19歳の神田奏真にも同様のことを行っている。観やすいように映像を自ら短くまとめたそうだ。
ベテランの小林悠は現在、復帰に向けて懸命のリハビリを行っているいることもあってその名前が挙がっていなかったが、そのそばに寄り添って笑顔で会話しており、コミュニケーションは密に取っていた。
「いろいろですね。タイミングとか動く場所とか」
大黒氏がそれぞれにどのような指導を行ったか、詳細は言葉にしなかったが、それが逆に、大黒氏の指導の深さを表しているようにも感じられた。個人戦術と得点力のアップへ、レジェンドの個人レッスンが早くも動き出している。
(取材・文/中地拓也)
(後編へ続く)