J1のFC東京が、今季初の対外試合で勝利をつかんだ。結果そのものよりも、試合前に披露されたワンシーンに、ファンの間では驚きと喜びが広がっている。
昨シーズンは、FC東京に火をつけたはずだ。Jリーグ史上初めて、首都東京を本拠地とするチームが3つも国内最高峰のJ1の舞台を戦ったが、その3チームのうち最下位に終わったのがFC東京だった。初のJ1昇格を果たしたFC町田ゼルビアが3位でフィニッシュし、16シーズンぶりにJ1を戦った東京ヴェルディが6位へと躍進。東京Vの1つ下、7位に終わったのがFC東京だった。
捲土重来のシーズンに向け、クラブはアルビレックス新潟をけん引した松橋力蔵監督を招へい。1月12日から沖縄キャンプに入っており、逆襲の準備を進めている。
チーム全体だけではなく、選手個々もリベンジの気持ちが強いはずだ。そうした思いを抱えているひとりが、DF岡哲平だ。
ジュニアユース年代からアカデミーで育ったが、すんなりとトップチームにたどり着いたわけではない。U-18からトップチームへの昇格はかなわず、明治大学へと進学。だが、その名門でしっかりと力をつけ、昨季からFC東京でプロキャリアをスタートさせるに至った。
大卒選手と言えば即戦力とみなされるが、すぐに力を披露したわけではない。開幕戦からベンチにも入らず、J1デビューを果たしたのは第11節だった。その初陣も交代出場で、その後はしばらく試合から遠ざかった。
だが、本人の中には強い思いがあったに違いない。第19節でJ1初先発を果たすと、その後は主力に定着。第22節、第32節と、DFながらゴールも記録している。
しり上がりに調子を上げたルーキーイヤーに続き、上昇気流に乗っていきたいはずだ。その意気込みが、チーム今季初の対外試合に表れた。
1月18日に行われた名桜大学とのトレーニングマッチで、岡は先発メンバーに名を連ねた。さらには、試合前の恒例の声出しも担った。
「5、4、3、2、1」と写真撮影の時間を伝えるかけ声をかけたのだが、その声量があまりに大きすぎる。クラブのSNSで公開された動画では、前列に並んでいた背番号10の東慶悟も苦笑いしていた。