■「不公平感」も解消できるプラス案
それなら、逆に参加チーム数を増やすという方法はどうだろうか?
現在は(東京都を除いて)1つの都道府県から1校しか出場できない。そうなると、1つの都道府県に強豪校が複数ある場合には、どちらかは都道府県大会で敗退して、全国大会には出場できないのだ。
たとえば、2024年7月に行われた全国高校総体では鹿児島県の神村学園が埼玉県の昌平を破って優勝しているが、冬の選手権にはどちらも県大会で敗れて出場できなかった。総体で3位だった帝京長岡も新潟県大会で敗れており、総体のベスト4のうち、冬の選手権に出場できたのは米子北のみだった。
もし、こうした高校が出場できていれば、実力校同士の戦いは間違いなく増えることになる。
全国高校サッカー選手権大会でも、50年ほど前には「総体枠」が設けられていた時代もある。たとえば、1970年度の第49回大会は16校出場の規模の小さな大会だったが、決勝では東海代表の藤枝東と総体優勝の浜名という静岡県勢同士の戦いとなった(藤枝東が勝利)。
現在でも、そうした参加チーム数拡大が実現すれば、静岡県勢同士の決勝とか、流通経済大柏対市立船橋といった対戦カードが実現するかもしれない。
そもそも、現在のように48校出場でノックアウト式トーナメントを行うと、1回戦から出場するチームと2回戦から出場のチームができてしまい、不公平だという指摘がある。中1日の連戦では、1試合多いことの負担はかなり大きいはずだ。
それなら、参加チーム数を64にまで増やせば、不公平は解消できる。
各都道府県代表以外に16チーム、強豪チームを出場させることによって「不公平感の解消」と「試合のレベルアップ」が同時に実現できるのだ。
たとえば、総体のベスト4に入ったチームの予選を免除できれば、同一県にある他の学校にとっては大きなモチベーションになるだろう。
また、過去数年間の成績をポイント化して「強豪県」の出場枠を増やすこともできるし、Jリーグクラブを数チーム招待することも考えられる。そうすれば、この大会がUー18年代の優れたタレントを網羅する大会になる。
そうした方法を組み合わせて、出場校を拡大するのが最も可能性が高い改革だと思うのだが、いかがであろうか?