冬の風物詩、全国高校サッカー選手権大会が終わった。決勝戦は見応えのある内容で、大いに盛り上がったが、サッカージャーナリスト後藤健生は、こうした好ゲームを増やし、日本サッカーのレベルを向上するためには、大会に「改造」が必要だと考える。その改造プランの内容は?
■難しい「既得権益」を損なうプラン
では、全国高校サッカー選手権大会という大会のレベルアップを図り、よりアグレッシブな試合を増やすにはどうすればいいのだろうか?
一つの考え方は、エリート校だけに絞って、たとえば24チーム参加の大会として、グループリーグを行って、ラウンド16あるいは準々決勝から勝ち抜き戦を行うことが考えられる。
こうすれば、リーグ戦形式の間はそれほど勝負にこだわらずに、アグレッシブに戦うことができる。一つの大会の中で、リーグ戦形式とノックアウト方式と両方を経験できるようになる。そして、もちろん、強豪校同士の戦いが増えるから試合のレベルは間違いなく上がるし、片方のチームが守備に力を入れ、強者が慎重すぎるといった偏った試合が減る。
ただし、参加チーム数を減らすことは容易には実現できないだろう。
現在は、全国高校サッカー選手権大会は48校が出場している。各都道府県から1校という制度だ(東京都だけ2校が出場)。そんな中で、出場権を減らすことは、各県の高体連として、とても許容できないだろう。「既得権益」を損なうような改革は難しい。