■相手の選手に「スペシウム光線」

「ウルトラ」という言葉は、はラテン語の「ultra(~を超えた)」という言葉がイタリア語にもそのまま受け継がれ、英語でも「極短な」「過激な」という意味を持つ「ultra(英語の発音は『アルトラ』)」となって、他の語とくっつけて、ごく普通に使われている。日本で大流行したのは、やはり東京オリンピック以降。1966年に放映された特撮のドラマ「ウルトラQ」(TBS系列)は大人気となり、それが「続編」の「ウルトラマン」シリーズにつながっていく。

 それにしても、1992年からの爆発的なサッカーブームのなかで、なぜサポーターの集団が「ウルトラス」と名乗るのか、不思議に思った人も多かったに違いない。Jリーグが始まったころにも「サポーター」という言葉はかなりよく知られていたが、「ウルトラス」は耳新しかった。スタンドから相手選手に向かって「スペシウム光線」を放とうというのか、しかし、サッカーは90分間なのに、たった3分間でエネルギー切れになってしまったら、選手たちも寂しいに違いない…。

 しかし、欧州では組織化されたサポーターグループをとくに「ウルトラス」と呼ぶことが多いということが、その後、広く知られるようになった。「ウルトラス・ニッポン」のリーダーである「洋行帰り」の植田朝日さんが名づけたものに違いない。

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