■後半だけで「9得点」が必要に…

 しかし、スペインはくじけなかった。失点からわずか2分後の26分、中盤からビクトル・ムニョスが大きく右に振り、走り込んだセニョールが頭で折り返したところを、拾ったサンティリャーナが右足を振り抜いて、ゴール左に送り込む。さらに、その3分後には、左からゴルディーリョが上げたボールを高く跳んだサンティリャーナがヘディング、3-1として前半を終えた。

 1失点を喫したことで、スペインには12点、後半だけで9点が必要になった。ハーフタイム、観客席にはあきらめムードが漂い、席を立って帰途につくファンの姿も見られた。試合前には90分間で11-0のスコアが必要だった。それが残り45分になったとき、その時間中に9-0が必要…。巨大に見えた壁はさらに高くなり、スペイン選手たちに重くのしかかった。

 後半、生き生きと動き始めたのがFWリンコンだった。後半2分、右サイドでセニョールのスローインを受けると1人をかわして前進し、さらにひとりを抜き去って角度のないところから右足でゴールを破ったのだ。10分後にリンコンはロングボールを追って抜け出し、GKも抜いて無人のゴールに5-1とするゴールを決めた。

 マドリード近郊出身のリンコンは、レアル・マドリードの育成組織で育ち、レアルでプロとなったが、ポジションをつかむことができず、ローンで3つのクラブで経験を積んだ後、この試合の2年半前にレアル・ベティスに移籍、そこでスターとなった。スピードに乗った突破を持ち味とする選手だった。

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