■小さかった「プレーのスケール」

 1978年にアルゼンチンで行われたワールドカップでは、欧州予選(ルーマニア、ユーゴスラビアと組んだ)を突破して12年ぶりに出場を果たした。初戦でオーストリアに1-2で敗れ、ブラジルとは0-0の引き分け、最終戦でスウェーデンに1-0で勝ったものの、グループ3位に終わり、そこで大会を終えた。

 この大会で、私はオーストリア戦とスウェーデン戦のスペインを見たが、本当にパッとしないチームだった。全体に小柄で、ボールテクニックは高いのだが、アルゼンチンやブラジルと比較するべくもなく、プレーのスケールは小さかった。守備を固めて少数の選手でカウンターを狙うチームだった。

「エース」と目されていたのはフアニート(フアン・ゴメス・ゴンサレス)。スピードを武器とするレアル・マドリードのアタッカーだった。中盤ではアセンシ(フアン・マヌエル・アセンシ・リポル)がゲームメークを担当していた。だが、チームの実質上の中心選手はGKのアルコナーダ(ルイス・ミゲル・アルコナーダ・エチャリ)だった。レアル・ソシエダ所属。スペインの守備は、彼に大きく依存していた。

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