12月7日に行われたJ1昇格プレーオフ決勝でファジアーノ岡山が2-0でベガルタ仙台を下し、クラブ史上初のJ1昇格を決めた。その運命の一戦で生まれた美しい先制ゴールが脚光を浴びた。
決めたのは、大阪府出身の28歳、末吉塁だ。大阪体育大学からモンテディオ山形、シェフユナイテッド千葉を経て、昨夏に岡山に加わった身長166cmのMFはこの日、左ウイングバックとしてスタメン出場し、本拠地サポーターの大声援を背にピッチを駆けた。
迎えた前半20分だった。左サイドから複数人が絡んだ攻撃のこぼれ球に、末吉が反応する。ちょうどボックス左角の位置。ゴールまでは距離があり、その間に敵味方が入り乱れていた状態だったが、冷静に、力むことなく右足を振り抜いた。すると、フワリと舞い上がったシュートは、一瞬、時が止まったかのような時間を経て、美しい放物線を描きながら元日本代表GK林彰洋の頭上を越えてファーサイドに吸い込まれた。
末吉のゴールで先制した岡山は、精神的にも大きなアドバンテージを得た中で試合を進め、固い守りで相手の攻撃を防ぎ続けた。そして後半16分に、交代出場したばかりのルカオの強引な突破からパスを受けた本山遥が追加点を奪い、2−0で歓喜の瞬間を迎えた。