■全員で願った勝利
「ふだん、声を出さない選手もいっぱい声出してましたし、楽しかったです」
中島がそう振り返るように、ピッチの上での気迫や勝利への執念は仙台が勝っていた。いや、ピッチの外でもそうだ。
この試合で出場機会がなかった名願斗哉も、「試合に出たかった」と闘志を燃やしたうえで、「点が動かないような展開だと、個で打開できる力が必要になると思っていました。そうなれば、自分の武器で違いを作ろうと思っていた」と、その出場のイメージを虎視眈々と膨らませていた。試合に出ずとも、何ができるかを考えていた。
途中出場の松井蓮之も、「先発の選手が頑張ってくれた」と称賛したうえで、「途中交代の選手もみんなうまく入れた」と、チームメイトを誇る。
一丸となった仙台が、次に対戦するのは12月7日の決勝の舞台。気象庁の現時点の予報によれば、岡山市の天気は晴れで、最高気温は12度。紅葉する木々も彩る中での試合となる。秋晴れの岡山の空に仙台の勝利を響かせる準備は整った。
(取材・文/中地拓也)