目の前の一戦に集中していたからか。ホームのUvanceとどろきスタジアムのピッチに初めて立った川崎フロンターレの高卒ルーキー、FW神田奏真(静岡学園)の耳には、ファン・サポーターが歌う自身のチャントは聞こえていなかった。
川崎が4-0で快勝し、来年3月に幕を開ける決勝トーナメント進出へ王手をかけた、4日の山東泰山(中国)とのAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)のリーグステージ第6節。神田のアシストからFW山田新が4点目を決めた90分を境に、スタンドでは懐かしいチャントのリズムが奏でられていた。
それは今夏まで所属した、元フランス代表FWバフェティンビ・ゴミスのチャントを、歌詞の一部を神田の名前と差し替えたものだった。公式戦でデビューから2試合で1ゴール1アシストと、周囲を驚かせる結果を残している18歳のホープが、早くも認められつつある証に、本人も「うれしいです」と声を弾ませた。
「ああいう偉大な選手が身近にいたのは、自分にとってもすごくいい経験でした。そのおかげでいまの自分があるとも思っているし、さらにバフェ(ゴミスの愛称)さんのチャントも引き継がれて。バフェさんからはストライカーとしてのポジション取りをよく言われましたし、いまもそこは自分に対して常に言い聞かせています」