■「ビックリした」韓国の親切システム

 そこで思い出したのが、昔の韓国のことです。

 僕が初めて韓国に旅行に行ったのは1980年代の初めでした。まだまだ、当時の韓国には古い習慣がたくさん残っていました。

 立っている人の荷物を座っている人が持ってくれるというのも普通のことでした。このときも、最初は僕もずいぶんビックリしました。で、バスや地下鉄がどんどん混んできて、押されて奥に移動しなければならないと、自分の荷物を持っている人と距離が離れてしまいます。どうなるのか、心配でした。

 でも、安心してください。

 降りるときには、その荷物を手渡し手渡しで持ち主のところまで送ってくれるのです。社会全体が、この“親切システム”に参加しているわけです。

 だから、レシフェのバスの中で荷物を取られたときも、韓国での出来事を思い出して「ああ、あれだ」と、すぐに思いついたというわけです。

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