大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第150回「知られざるルヴァンカップの真実」(3)カズら日本代表のアジアカップ初優勝が人気を後押し、「お前はバカだ」ブラジル2大レジェンドが激突の画像
選手としても監督としてもルヴァンカップに縁のある長谷川健太監督。今年の優勝時は、この表情だった。撮影/中地拓也

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは、名古屋グランパスとアルビレックス新潟の手に汗握る決勝が話題となったルヴァンカップの「意外と知らない」本当の話。

■満員のサポーターを熱狂させた「日本代表

「日本初のプロサッカー」の大会、ナビスコカップは、9月の開幕当初は5割ほどの入りだった。しかし、その日にいきなり各クラブに「サポーター」が誕生してにぎやかな雰囲気になり、節を追うごとに観客数も増えて熱気を増した。

 意識が一変した選手たちの死に物狂いのプレーが共感を呼ぶとともに、カズ(三浦知良)、ラモス瑠偉、加藤久、都並敏史、北澤豪、武田修宏ら日本代表のスターをズラリと並べたヴェルディは、まるで人気アイドルのような状況になった。ナビスコカップの深まりとともに、Jリーグは大きな熱狂に包まれた。

 それを大きく後押ししたのが、大会を中断して広島で10月29日から11月8日まで行われた「AFCアジアカップ」での日本の躍進と初優勝だった。

 ハンス・オフト監督率いる日本代表は、カズの劇的なゴールでイランを破ってグループリーグを突破、準決勝ではGK松永成立が退場になるというアクシデントがありながら、中山雅史の決勝点で劇的な勝利。決勝戦では3連覇を狙うサウジアラビアを高木琢也のゴールで下し、広島ビッグアーチを埋めた満員のサポーターを熱狂させた。その熱狂が、そのまま半月後の東京・国立競技場に乗り移った。

  1. 1
  2. 2
  3. 3