■サポーターの「大反発」を押し切って

 サッカー界では、2005年にオーストリアで破産の危機にあった名門クラブ「SVオーストリア・ザルツブルク」を買収し、多額の投資をして選手をそろえ、またたく間にオーストリアを代表するクラブに育て上げた。買収にあたってクラブ名を「レッドブル・ザルツブルク」と改称、ユニフォームカラーも、伝統の紫から、エナジードリンクのイメージである赤い雄牛の赤と白に改めた。当然、サポーターからの大反発があったが、レッドブルはそれを押し切った。

 2009年、レッドブルはドイツのライプツィヒ郊外にある人口1万5000人の町で活動していた「SVVマルクアンシュテット」というクラブのオーベルリーガ・ノルトエスト(ドイツ5部にあたる)の地位を買収した(マルクアンシュテット自体は、1年後に6部リーグから再出発している)。

 ドイツでは企業名をクラブ名に入れることが禁止されている。そのため、レッドブルは新しいクラブの名称を「RBライプツィヒ」とした。そして「RB」はレッドブルではなく、「RasenBallsport(芝生ボール競技)」の略と説明し、登録を認められた。レッドブルの投資によってこのクラブは目覚ましい成長を見せ、わずか7年でブンデスリーガ1部に昇格、昇格1年目の2016/17シーズンではいきなり2位(優勝は当然バイエルン・ミュンヘン)となって、翌年のUEFAチャンピオンズリーグ出場を果たしたのである。

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