サッカー女子日本代表が、新たなスタートを切った。佐々木則夫監督代行、内田篤人コーチの下、韓国代表との親善試合で快勝したのだ。だが、「新チームを指揮したのが監督代行だった」こと以外にも、気にかかることが多かったと言うのは、サッカージャーナリストの後藤健生。新生なでしこジャパンが今後、W杯王者スペイン、五輪金アメリカを破って、世界の頂点に立つために必要なことは何か? その船出にあたってベテラン記者が飛躍を妨げる「大問題」、落とし穴の存在について指摘する!
■格上アメリカと「延長戦」にもつれ込む死闘
池田太前監督は、ゲーム戦術を操って勝負できるという意味で、これまでの女子代表監督とは一味違う指導官ぶりを発揮した。また、従来ずっと4バックでプレーしてきた女子代表として初めて3バックに挑戦し、ワールドカップまでの1年弱でこの形を完成させ、グループリーグではカウンター・サッカーでスペインに4対0と勝利。
パリ・オリンピックでも、格上アメリカと対戦した試合で、徹底した抵抗を示して延長戦にもつれ込む死闘を演じてみせた。
これだけの手腕を持つ監督を退任させたのだから、誰もが納得するような監督を招聘することが日本サッカー協会としての、女子委員会としての使命となろう。
だが、外国人指導者をはじめ、何人かにアプローチしたものの、合意に至らなかったと聞いている。
たしかに新監督に求められるタスクは、「スペインやアメリカのような強豪相手にも、自らが主導権を握る戦い方をして勝つ」というハイレベルの要求だ。新監督探しが難航するのも当然のことだろう。
これから、新監督探しに拍車をかけたいところだろうが、難しいのはすでに新シーズンが始まってしまっていることだ。
すでに、多くの指導者が各クラブや代表チームで指揮を執っているのだ。現在、フリーの立場の指導者の中から探すことになると、選択肢が狭くなってしまう。