内田篤人の「セットプレー」、藤野あおばが体現した「理想のゴール」、難しい「後任探し」【佐々木則夫監督代行、内田篤人コーチの下、韓国に快勝「新生なでしこジャパン」の大問題】(1)の画像
韓国に快勝した新生なでしこ。チーム2点目を決めた藤野あおばのゴールには、「なでしこの理想」が…。撮影/原壮史(Sony α‐1使用)

 サッカー女子日本代表が、新たなスタートを切った。佐々木則夫監督代行、内田篤人コーチの下、韓国代表との親善試合で快勝したのだ。だが、「新チームを指揮したのが監督代行だった」こと以外にも、気にかかることが多かったと言うのは、サッカージャーナリストの後藤健生。新生なでしこジャパンが今後、W杯王者スペイン、五輪金アメリカを破って、世界の頂点に立つために必要なことは何か? その船出にあたってベテラン記者が飛躍を妨げる「大問題」、落とし穴の存在について指摘する!

■日本が優勢に立つのは「当然だった」

 10月26日の親善試合で、日本女子代表(なでしこジャパン)が韓国女子代表と対戦し、4対0で快勝した。

 女子のFIFAランキングでは日本が7位、韓国は19位と、日本にとって韓国は格下。しかも、韓国は申相又(シン・サンウ)監督が就任したばかりで、3日間しか準備期間がなかったとのことでチーム作りも進んでいない様子。

 日本が圧倒的優勢に立つのは当然のことだった。

 日本は攻撃から守備へのネガティブ・トランジションで大きく上回り、韓国がボールを奪っても、すぐに日本がプレッシャーをかけて奪い返し、韓国は日本陣内に入ることもできない状況が続いた。

 ただ、そんな中でも、韓国のMFは日本のプレッシャーをかいくぐってボールを運ぶことができたし、懸命に守りを固めたため、日本はなかなか点が取れない状況だった。

 だが、32分にCKから先制に成功する。

 右CKから長谷川唯がライナー性のボールを入れたところに北川ひかるがニアに走り込んでコースを変えて、ファーサイドのポスト内に落としてゴールを決めた。内田篤人コーチが担当したというセットプレーが見事に決まった。

 そして、失点に動揺する韓国を相手に34分、37分と加点して、日本はこの5分間で勝負を決めてしまった。

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