■信頼と阿吽の呼吸
攻撃の部分では相手のインサイドハーフとマッチアップしながら、どちらかというと守田がワイドにポジションを取って、ボールサイドに数的優位を作ろうとする分、遠藤は中央に残ってサウジアラビアのプレッシャーを吸収していたが、タイミングよく受ければシンプルに叩くだけでなく、1つ前に踏み込んだり、横に動かして配給するといった意識が見られた。
そこから1つ飛ばすパスなどがズレるケースも目立ったのは、もしかしたらリバプールでなかなか試合に絡めていない影響もあるかもしれないが、基本は遠藤が6番、守田が8番の役割を担いながら、ケースバイケースで役割を逆転させるなど、阿吽に呼吸に近いレベルまで達してきている。もちろん、左シャドーの鎌田大地もどちらかというと8番タイプなので、日本も流れの中で遠藤、守田、鎌田が逆三角形を形成することもある。
前半14分に奪った日本のゴールは右ウイングバックの堂安律によるサイドチェンジを起点に、左の三笘薫が折り返すと、タイミングよくゴール右に攻め上がっていた守田がヘッドで落とし、鎌田が押し込んだ。守田は「ウイングバックが高い位置を取れるとなると、サイドの幅がすごく広がる。そうなったら相手のバックに対してスペースが間、開くので、その分入っていけるスペースがあって」と振り返るが、守田が数手先の道筋を読むような攻撃参加ができるのも、遠藤のバランスワークに対する信頼あってのものだ。
(取材・文/河治良幸)
(後編へ続く)