■アメリカよりも「本場の味」に近い理由
戦争が終わると、オーストラリアのすぐ北側のオランダ領東インドが「インドネシア」として独立。インドネシアも人口が1億を超える大国だった(現在は2億8000万人)。そして、さらに北側には人口10億人の中国も存在していた。
そうした「人口の圧力」を感じたオーストラリアは、存在を守るために人口を増やそうと考えて移民を受け入れたのだ。
だが、アジア人は入れたくない。そこで、ヨーロッパの中でも経済的に苦しかったギリシャやイタリア、旧ユーゴスラビアからたくさんの移民がやって来たのだ。
第2次世界大戦後のことだから、今から60~70年くらい前のこと。現在のヨーロッパ系住民は、その2世か3世ということになる。
たとえば、アメリカのニューヨークにもたくさんのイタリア系住人が住んでいる。だが、彼らの先祖がアメリカに渡ってきたのは、100年とか150年前のことだ。
従って、ニューヨークのイタリア料理はすっかりニューヨーク化してしまっている。だが、オーストラリアのヨーロッパ系はやって来てからまだ長い時間が経過していないので、本場の味に近いと言われているのだ。