後藤健生の「蹴球放浪記」第234回「美食の国オーストラリアでは路面のサイにご注意」の巻(2)本場のイタリアンを食べるならニューヨークよりもメルボルンの画像
7月16日、わずか7か月で横浜FⅯの監督を解任されたハリー・キューエル。オーストラリア代表のレジェンドは退任にあたり、「近い将来、戻って来られることを願っています」と語った。撮影/原悦生(Sony α‐1使用)

 今年のチャンピオンズリーグでは崩れかけているが、サッカーはホーム・アンド・アウェイで勝負を行うのが通常だ。蹴球放浪家・後藤健生は当然、アウェイゲームの攻略法も心得ている。美食を求めるなら、オーストラリアで決まりだ。

■ポポヴィッチ新監督も好物の「東欧系」

 メルボルンにはイタリア人も多いから、イタリア・レストランも充実している。その他、オーストラリアには旧ユーゴスラビア系も多く、そうした東欧系の料理も楽しむことができる。

 新たにオーストラリア代表の監督に就任したトニー・ポポヴィッチも、シドニー生まれのクロアチア系オーストラリア人だ。

 ヨーロッパ各国からの移民が増えたのは、第2次世界大戦後のことだった。

 オーストラリアは、もともと英国の植民地として発展。1901年に事実上独立した国だ。そして、第2次世界大戦前は英国系の人が圧倒的多数を占めていた(オーストラリアには「アボリジニー」と呼ばれる原住民がいたが、かつては差別を受けており、人口統計に含まれてすらいなかった)。

 しかし、戦争後にオーストラリアは数多くのヨーロッパ系移民を迎え入れる。

 ヨーロッパ大陸から遠く離れたオーストラリアは「世界から孤立している」と信じていたのだが、第2次世界大戦中には北部の都市ダーウィンが日本軍による空襲を受け、シドニー湾に日本の潜水艇が侵入してきたこともあった。

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