後藤健生の「蹴球放浪記」第233回「大連市内で中国人とイタリア語で会話」の巻(1)ガンバ大阪とACLで対戦した「中国の強豪チーム」、理事長との「無言の車内」を救ったセリエAの画像
カザフスタンには、さまざまな国にルーツを持つ人が…。1997年フランスW杯最終予選の入場券。提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は世界を渡り歩き、さまざまな人と言葉を交わす。その国の言語を使うこともあれば、思わぬ言語が通じることもある。中国人とイタリア語で会話することも…。

■蔚山監督の会見で使われた「2つの言語」

 先日行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)エリートの横浜F・マリノスと蔚山HD FCの試合後、韓国の金判坤(キム・パンゴン)監督は英語を使って会見を行いました。日本人記者の質問には英語で答え、韓国人記者の質問には韓国語で答えたのです。

 ACLの記者会見は英語が媒介言語となっていて、韓国語の発言はまず英語に翻訳され、それを英語→日本語の通訳が日本語に直すのです。

 しかし、こうした媒介言語を通すたびに、もとの発言の原意からは離れていってしまいます。その点、監督が英語で話してくれれば、誤解は生じません。

 本当なら、韓国語→日本語の通訳が担当するのがいちばん間違いが少ないと思います(別に英語訳が必要なら、韓国語→英語の通訳が翻訳すればいいのです)。

 それはともかく、日本人と韓国人が会話しようとするときには、英語を使うことが多いと思います。僕もそうします。

 しかし、日本語と英語は(韓国語と英語も)文法的にも、語彙的にもまったく違う言語です。それはそうでしょう。ユーラシア大陸の東の端の2つの言語と、同大陸の西の端の言語なのですから……。

 逆に日本語と韓国語は、文法も語彙もそっくりなのですから、英語より正確に楽に話すことができます(韓国語の発音は日本人にとって、ちょっと難しいですが)。ですから、韓国人には漢字を覚えてもらって、日本人はハングルを学んで、両国語を共通化していくのがいいと思うのですが……。

 まあ、いずれにしても英語は世界の共通語。他に方法がない場合は、英語で話すしかありません。

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