劣悪なピッチ状態のため、勝負どころで空中戦を選択せざるをえなかった29日のレノファ山口とのJ2リーグ第33節。敵地・セービング陸上競技場で、ベガルタ仙台のMF鎌田大夢は前半だけで6本のコーナーキックを任されている。
しかも、右足に残ったキックの感触が、極めて良好だったと鎌田が振り返る。
「特に前半は最初の1本を除いて、すべて狙ったところにいきました」
MF中島元彦も鎌田の好調ぶりを見抜き、前半はすべてファーでチャンスを待っていた。しかし、75分に獲得した左コーナーキック時にひらめくものがあった。
「大夢(鎌田)の特徴もあるし、何よりも自分もコーナーキックのキッカーを務めてきたのでよくわかるんです。前半からいいボールを蹴ってきたなかで、そろそろちょっと引っかけるというか、真ん中からニアの方にくるころかな、と」
本当に導かれるかのように、後半に獲得した唯一のコーナーキックで、当初はファーでボールを要求していた中島は、とっさにニアのスペースへ回り込んだ。
「何か読み通りに大夢がちょっと引っかけて、思っていたところへ飛んできました。フォワードとしての自分の嗅覚も、まだまだ衰えていませんね」
会心の笑顔を浮かべた中島へ、自身にアシストがついた鎌田も感謝した。
「ファーを狙ったのがめちゃミスキックになったけど、それがいいところに飛んでくれた。最初はファーで合図を送ってきた元くん(中島)が『ニアにくると思ってあそこにいったよ』と言ってくれて、結果的によかったと思っています」