■移籍1年目を慮る

 後輩を思って言葉を紡ぐ瀬川だったが、その中で、自分の苦しい立場もあればこそ山本の気持ちが分かるとも話していた。であればこそ、「自分も苦しい中で、それができるのはすごい」と話を振ると、「今も苦しいです(笑)」と笑わせ、「俺が(神田)奏真に何か言ってるかってったら、言ってないですけど……」と例を挙げる。
「たとえば奏真は18歳だし、代表活動にも行ってるし、まだ焦る時期じゃない。でも、悠樹はガンバにずっといて、そこから一つチャレンジするために川崎に来て、自分の価値を示そうとした1年目でこれだけ出られないっていうのは想像してなかったと思う。
 なおかつ、チームが全然勝ててない時期でも、なかなかメンバーに入ることができなくて。多分、誰よりもどかしい気持ちで過ごしてたと思う。その気持ちは分かる」
 ちなみに、「あと、自分は97年組が好きなんですよ(笑)。大南(拓磨)も瀬古(樹)も川原(創)も、みんな97年組なんですよ。あいつらって、せっかく同い年なのに群れないんですよ。全員マイペースだし、何か独特な雰囲気を持ってて。だから個人的に絡みやすくて、好きで」とも答えている。移籍を繰り返してきた瀬川にとって、彼らの姿を見て芽生える“先輩心”もあるのか。
 一方で、瀬川が目を懸けるのが、97年組にだけではない――。

(取材・文/中地拓也)(後編につづく)

(2)へ続く
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