キルギスという国がある。“中央アジアのスイス”という異名も持ち、その国土のほとんどが標高1500mを超えるという山岳国家だ。
この国で今、活躍を見せている若武者の一人が神田奏真。川崎フロンターレに所属する18歳のストライカーである。Jリーグにはまだ出場したことがない。それでもそのポテンシャルに疑いはなく、キルギスを舞台に開催されているU20アジアカップ予選でU19日本代表の一員として躍動。初戦・トルクメニスタン戦では日の丸のユニフォームを着て2ゴールを決めて見せた。
その神田のトレーニングでの成長を見たことが、元フランス代表FWバフェティンビ・ゴミスの今回の「決断」につながったという。
というのも、退団会見においてゴミスに神田について尋ねると、まずは以下のように答えた。
「奏真は非常に才能ある選手だと思っています。川崎のクラブとしてのハードワークが実って、彼を見つけることができたと思っています。彼が大きな成長を続けているのは近くで見ていますし、今回の私の決断にも一つ繋がった部分でもあります。
自分はなかなかチームに貢献できず、出場時間も短かったりしましたけれども、その短い出場時間をこれからは奏真のような選手が得て、チームに還元していくべきであろうというふうに思っています」
18歳のストライカーの将来性を感じ取って、ゴミスは自身のプレータイムを神田に譲るべきだと判断したのだ。なお、ゴミスは、「現時点で他のチームを探していない」とも話していることから、その「決断」がとても重いものであったことが示唆されているし、それほどに、神田の成長が大きかったことを意味している。