■サッカーVSラグビー

 アイルランド共和国の首都ダブリン近郊にあるアビバ・スタジアムは同国代表のホームとなる約5万人収容のスタジアムですが、メインスタンド下に「ランズダウン・ロード」駅が存在します。

 このスタジアムのユニークなのは、アイルランド・サッカー協会(FAI)と同ラグビー協会(IRFU)の共同所有である点です。たいていの国でサッカーとラグビーはライバル関係にあるのでスタジアムも別々に持っているのが普通です。日本でも、日本ラグビー協会は秩父宮ラグビー場をサッカーに使わせるのを嫌がります。

 アイルランドはかつてイングランドの植民地だったので(完全独立は1937年)反英感情が強く、アイルランド固有のスポーツであるゲーリック・フットボールやハーリングを統括する「ゲーリック体育協会(GAA)」は、同協会に所属する選手がサッカーやラグビーをプレーしたことが発覚すると除名してしまうほどでした。

 そして、GAAはダブリン市内に8万人以上を収容する同国最大のスタジアム、クロークパークを所有していたのですが、FAIやIRFUはこのスタジアムを使用させてもらえなかったのです。

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