【川崎が名古屋の5バックを攻略できなかったワケとは(1)】山田新が悔しがった、“遠かった距離間”。相手の“マンツーマン守備で”前と後ろが同じ絵を描けずの画像
川崎フロンターレの山田新。名古屋グランパス戦でもその強さを見せたが… 撮影:中地拓也

「もっと中に入ってきてほしい!」

 川崎フロンターレのFW山田新は、険しい表情でバックスタンド側にいた遠野大弥に訴えた。前半、名古屋グランパスのポケットを取って攻撃しようとした場面でのことだ。

 手の動きを使って身振りを交えながら、状況を打開しようとコミュニケーションを取る。遠野大弥もそれを理解してセンターフォワードをフォローしようとしたが、最後まで得点には結びつかなかった――。

 9月22日のJ1リーグ第31節。ACLエリート・開幕戦で難敵である蔚山現代を破った川崎は、中3日の連戦とはいえその勢いを豊田スタジアムに持ち込もうとした。しかし、5バック気味の名古屋の守備と、マンツーマンで制限されたことで、リズムを出すことができない。苦境を打開しようと試みるが、先制したのは名古屋。永井謙佑のスーパーゴールが決まって1点ビハインドとなったのは34分のことだった。そして後半にも失点して、0-2で敗れている。

 この試合で川崎は、山田が落ちることを戦術の一つとしていた。フィジカルに優れる背番号20に相手選手を食いつかせ、そのスペースをマルシーニョらが使うというものだ。これは、蔚山戦でも用いられたもので、その際は山田ではなく小林悠がその役に当たった。名古屋を分析した結果、同じような形で得点チャンスをうかがおうとした。

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