主将・脇坂泰斗はきっと、考えたうえで小林悠を指名した。9月17日の練習後の場面だ。
9月18日のAFCチャンピオンズリーグエリートのリーグステージ第1戦・蔚山現代戦を翌日に控えたこの日、スタジアムにほど近い練習場で“締めの挨拶”をベテランFW小林にお願いしたという。
なぜ背番号11だったのか。小林自身は、「ACLで悔しい思いをしているって泰斗が知ってるからか」と思い至ったという。そして、その感情を素直に言葉にした。
「ACLはフロンターレが取ったことのないタイトル。天皇杯もルヴァンも取ってるけど、ACLは取ったことがない。泥臭くてもいいから、こういうアウェイで勝点3を取ることだけ意識して、みんなで全員で戦おう!!」
もし指名されたら何を話そうかは決めていたという小林は、「自分の思いの丈とACLに懸ける気持ちをしっかり話しました」と明かす。脇坂が期待したように、そのまっすぐな言葉がチームをピリっと引き締めた。実際、ある主力選手はその言葉が「すごく胸に響いた」と振り返る。