■「みんなでまた一つ強くなっていく」
一方で、小林が最も狙っていたのはゴールだ。前半18分、左サイドを上がった三浦颯太からのマイナスのパスを受けた小林は、ペナルティエリアの手前からミドルシュート。これは身を投げ出した相手GKに弾かれたが、得点を感じさせるチャンスだった。
「チャンスがあったら振ろうと思っていた」。この意気込みと、「あとはグラウンドが悪かったのでゴロで行けば“変わるかな”と思った」という狙いを持ったシュートで、チームに攻撃のスイッチを入れて見せた。
小林は69分にピッチを去り、残り時間はベンチから声を枯らして見守った。「絶対に勝って帰るぞ」という気持ちを叫び続けて、勝利を手にした。
「いやあ、嬉しいです。こうやって勝ってみんなでまた一つ強くなっていくんだなと思うんで、これがまたリーグ戦にもいい影響が出ればいいなと思います」
こう笑顔を見せてミックスゾーンを去った小林の背中は頼もしく、そして、“一つ強くなったフロンターレ”が楽しみになった。
(取材・文/中地拓也)