■広東語と北京語は「英語とドイツ語」

 ですから、香港は中国本土以上の「日本人放浪家天国」ということになります。

 そもそも、「香港」という地名も日本語の音読みなら「こうこう」ですよね。それを、広東語の発音を元に英語で「Hong Kong」と呼ぶようになり、日本語でも「ホンコン」と読むわけです(ちなみに、中国本土の標準語=普通話では「香港」の発音は「シャンカン」)。

 広東語と普通話とではドイツ語と英語くらいに違っていて、互いの言葉でしゃべるとほとんど通じないそうです(飯田真紀『広東語の世界』中公新書)。

 たとえば、イタリア語とスペイン語だったらそのまま通じます。イタリア人のインタビュアーがイタリア語で質問して、アルゼンチン人選手がスペイン語で答えているといった場面をよく見かけます。時々「えっ?」といった感じで会話が止まりますが、テレビを見ている人はそのまま理解することができます。

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