■漢字なので「バスに乗りやすい」

 中国で、何がありがたいかというと、バスに乗りやすいのです。

 初めて歩く街では、目的地に向かうバスを探すのが大変です(最近は、便利なアプリもたくさんありますが)。バスには路線番号と行き先が書いてありますが、慣れない国ではそれを読み取ることは容易ではありません(ミャンマーのバスは、路線番号までビルマ数字で書いてありました)。

 動いているバスに書いてある文字を読み取るのは、けっこう難しいものです。

 その点、漢字で書いてあると文字が読み取りやすいのです。

 漢字というのは、複雑な形をしているので書くのは大変ですが、覚えてさえしまえば読むのには便利な文字です。形を覚えてしまえば、一目でその文字が分かるというわけです。ローマ字やハングルのような表音文字よりも、少なくとも日本人の目には漢字のほうが馴染みやすいのです。

 しかも、中国のバス停では、経由地のバス停の名前が(たいてい)全部書いてあるので、それを見れば目的地を探すことができます。その都市の中の主要な地名(東京で言えば「新宿」とか「池袋」、「上野」といったような)を覚えておけば、来るバスがだいたいどこを通るか見当がつきます。

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