北中米W杯アジア最終予選で奮闘を続ける、ベルギー1部ユニオン・サン=ジロワーズに所属する日本代表ディフェンダー(以降、DF)の町田浩樹(27)。
7-0で快勝した9月5日のホーム初戦・中国戦では、3バックの左で先発フル出場。左サイドで絡む三笘薫らに効果的なパスを供給し続けたかと思えば、中国の分厚い守備に差し込む鋭い縦パスで南野拓実らの得点チャンスを演出するなど、攻撃でも存在感を発揮した町田。ポジションの重なる冨安健洋(アーセナル)と伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)が負傷によって招集が見送られたこともあり、10日のアウェイ・バーレーン戦でも町田にかかる期待は大きい。
そこで、日本代表の浮沈のカギを握る27歳のDFに独占インタビュー。町田には、忘れることのできない「悔しい思い出」があるという(インタビュー#1)。
■海外移籍に「強い思いはなかった」
町田の日本代表歴を振り返る上で、欠くことのできないターニングポイントがある。2021年7月に行われた東京オリンピックだ。
町田は22名の登録メンバーに選ばれたものの、1試合に途中出場しただけで五輪を終えた。出番があったのは、1次リーグ初戦の南アフリカ戦。後半40分からピッチに入り、出場時間はアディショナルタイムを入れて、わずか9分間だった。「本当に悔しかった」と振り返る町田はこのとき、「海外に行きたい」と強く思うようになったという。
それまでの町田は、海外でのプレーを漠然とイメージすることはあったが、海を渡ることに「そこまで強い思いはなかった」という。しかし、東京五輪を機に、考えは大きく変わった。
「東京五輪は、試合に全然、出られなくて悔しかった思い出しかないです。でも、あの悔しさがあったから今があると、心の底から思っています。 まったく試合に出られなかったので、“このままじゃダメだな”と思うようになった」
もうひとつ、海外移籍に心が傾いた理由があった。