三笘薫「卒業後」と大橋祐紀「開幕戦ゴール」、パリ五輪「3戦全勝」が示すJリーグの充実とWEリーグの使命【日本がベルギー級「輸出大国」になる日】(3)の画像
今年2月23日の広島ホームでの開幕戦で、ゴールを決めた大橋祐紀。その力はイングランドでも通用することを、かの地での開幕戦ゴールで示した。撮影/原壮史(Sony α-1使用)

 日本のサッカー界は、着実に成長している。ワールドカップやオリンピックなど大舞台での活躍はもちろん、その進化は日々の活動にも表れている。数多くの選手たちを世界の舞台へと送り出す日本サッカー界の「育成力」について、サッカージャーナリスト後藤健生がリポートする。

■南野拓実、伊東純也がいなくなっても…

 そして、Jリーグの素晴らしいところは、これだけ多くの優秀な選手を輸出しておきながら、リーグの空洞化を免れていることだ。

 もちろん、「南野拓実伊東純也がJリーグにいたら、どんなにスペクタキュラー(素晴らしい)なプレーを見ることができるか」とか、「三笘薫守田英正田中碧が海外に出て行かなければ、川崎フロンターレが凋落することはなかっただろう」とは思うが、では、彼らがいなくなってJ1リーグのサッカーがつまらなくなったかと言えば、そうとは言えないほど充実した試合を見ることができている。

 優秀な選手が海外に進出していくと、若い世代の新しい選手が育ってくる。彼らが、さらに若いうちに(Jリーグでプレーすることなく)海外に出て行ったとしても、さらに下の世代が成長してくる。しかも、J1リーグだけでなく、下部リーグへも、強化の波が及んできている……。

 考えてみれば、これは素晴らしい循環だ。

 数年前まで、日本ではユース年代を卒業してプロ契約したばかりの19歳、20歳くらいの選手にプレー機会が与えられないことが問題になっていた。

 だが、多くの選手がヨーロッパに渡っていったおかげで、Jリーグに入ったばかりの若手にも出場機会が与えられるようになった。

 パリ・オリンピックではオーバーエイジ枠は使われず、さらに海外クラブに所属する選手の多くも招集できず、「U-23Jリーグ選抜」のようなチームが派遣されたが、彼らはグループリーグで3戦全勝という結果を残すことに成功した。

 それができたのは、ユースからトップに昇格したばかりの選手でもJリーグのレギュラーとしてJ1リーグの試合を経験できる選手が増えたからだった。

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