■なでしこ最年少「19歳の2人」も海外移籍
女子サッカーでも、最近は代表クラスの選手の多くがヨーロッパやアメリカに渡るようになってきた。そして、若いうちに海外に渡る選手が増えてきたのも男子と同じである。
パリ・オリンピックに出場した女子代表(なでしこジャパン)の最年少、19歳の谷川萌々子も古賀塔子も2024年夏に海外に移籍した(谷川はスウェーデンのローゼンゴート、古賀はオランダのフェイエノールト)。
現在、コロンビアで行われているU-20女子ワールドカップに出場している、U-20日本女子代表(ヤングなでしこ)でも、21人の代表のうち2人がスウェーデンのクラブで、2人がアメリカの大学でプレーしている。
そのU-20女子日本代表は、ワールドカップの初戦でニュージーランド相手に7対0と大勝。U-20ワールドカップでは、日本は2大会連続で決勝に進出しているが、次世代も順調に成長していることを実証して見せた。
女子の育成も順調のようではある。だが、最初に述べたように、トップリーグ(WEリーグ)の強化の波が、まだ下部リーグにまで波及していないのが実情だ。
多くの若手選手が海外に流出。そして、WEリーグが出来て、WEリーグとなでしこリーグの2リーグに分かれたことによって、実質的にチーム数が増大することになった。いわば、選手に対する需要が急激に拡大した分を埋めていくほどには、供給が十分ではないのだろう。
男子のサッカー界で育成がうまくいっているのは、Jリーグの全60クラブに育成組織が存在し、さらにJFLクラブなどでも育成に力を入れているクラブが数多く存在することのおかげだ。
女子サッカーも、さらに育成を充実させ、多くの選手が海外に流出してもWEリーグやなでしこリーグを空洞化せないようにしなければならない。選手の育成と言う意味でも、WEリーグクラブの責任は重大なのではないだろうか。