■日本代表の強化に直結する「動向」と「進歩」

 もちろん、選手個々の能力は、J1リーグと比べると当然のことながら劣っている。とくに「決定力」といった、個人能力に依存する部分ではJ1リーグと下部リーグでは大きな差がある。

 だが、各チームが目指している方向性はJ1リーグでも地域リーグでも共通した部分があり、同カテゴリーチーム同士の戦いであれば、十分に観客を楽しませるだけの技術的、戦術的レベルに達しているのだ。

 こうした状況が生まれたのは、最近の日本のサッカー界では、それだけ多くの、能力の高い選手が育っているからでしかない。

 もちろん、競技力を比べたら、J1リーグが最高の戦いであることは当然だし、多くの観客を集めることができるのはトップリーグだけ。また、日本代表の強化に直結するのは、J1リーグの動向であろうし、海外に進出した選手たちの進歩が重要だろう。

 だが、日本サッカー界全体を考えれば、下部リーグの充実は非常に重要な要素だ。とにかく、多くの優秀な選手が育ち、下部リーグでも内容の充実した試合を繰り広げていることが、トップリーグの底上げにつながり、J1リーグの充実があるからこそ、多くの日本人選手がヨーロッパのクラブで活躍できるのだ。

 今では、年代別代表に関わったことのあるレベルの選手だけでも、数十人の日本人選手がヨーロッパのクラブに在籍している。

 それ以外の無名の選手まで含めれば、その数は100人を優に超えているはずだし、さらに多くの日本人選手が東南アジアなどでプレーしている。

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