日本のサッカー界は、着実に成長している。ワールドカップやオリンピックなど大舞台での活躍はもちろん、その進化は日々の活動にも表れている。数多くの選手たちを世界の舞台へと送り出す日本サッカー界の「育成力」について、サッカージャーナリスト後藤健生がリポートする。
■強化の波は「下位リーグ」にまで
男子のサッカーでは、強化の波は下部リーグにまで広がっている。
2010年代中頃に、川崎フロンターレと横浜F・マリノスが攻撃的サッカーで一世を風靡した。この、神奈川県の2チームが6年間にわたって、J1リーグのタイトルを独占した。
彼らの攻撃サッカーを止めるために、他のチームは当初は引いて守るしかなかったが、次第にハイプレスで対抗するようになり、今ではJ1リーグではカウンタープレス型のチームが上位を占めるようになった。
こうして、J1リーグのレベルアップが一気に進むと、それから2、3年ほどたってからJ2リーグのサッカーもすっかり変化。J1リーグ以上に、それぞれのチームスタイルを発展させながら、J1昇格を懸けて激しいバトルが繰り広げられるようになった。
そして、さらに強化の波は下位リーグに広がっていく。
J3リーグは、最近まで「降格」がなかったため、監督の発想を生かす自由なサッカーが多かったが、2023年からJFLとの入れ替えが実施されることになったため、勝負の懸かった真剣勝負が多くなった。
強化の波はさらに広がっていく。かつては「アマチュアの雄」Honda FC(本田技研)が圧倒的な力を誇っていたJFLも、このところすっかり群雄割拠(今シーズンは、高知ユナイテッドが独走状態)。激しい、ハイレベルのバトルが繰り広げられている。そして、さらに、その下の地域リーグのレベルも次第に上がってきている。