■大きく開いた2つのリーグの「実力差」
2021年にWEリーグがスタートしたが、当初はWEリーグとなでしこリーグの実力差はそれほど大きくなかった。実際、当時の皇后杯全日本選手権のリザルトを見ると、なでしこリーグ勢がWEリーグ勢に勝利することも珍しくなかった。
だが、WEリーグは2シーズン目くらいから、急速に強化が進んだ。テクニックの部分もそうだが、勝負へのこだわりやプレー強度といった面で、なでしこリーグとの差は大きく開いていった。
かつて、2011年に日本の女子代表チーム「なでしこジャパン」がワールドカップ優勝を決めた頃は、当時のトップリーグであるなでしこリーグ1部でも、チーム間格差が大きく、下位チームでは選手のレベルのバラつきも大きかった。
だが、今ではWEリーグのチームなら、下位チームも含めて選手層はかなり厚くなっているし、上位との実力差はあるものの、下位チームも上位に対して頑強に抵抗できるようになっており、上位チームも楽に勝てる試合は減っている。
つまり、過去10年ほどの間で女子サッカーの選手層はかなり厚くなっているのだ。
だが、その波は現在のなでしこリーグ、つまり2部リーグにまでは及んでいないようなのだ。
鴨川での観戦の帰りに、いつも女子サッカーを熱心に取材している同僚記者が「なでしこリーグのレベルは下がっているのだろうか」とつぶやいた。僕は「WEリーグのレベルアップのせいで、相対的にそのように見えるんじゃないか」と返答しておいたのだが、いずれにしてもなでしこリーグはWEリーグの急成長に、まだついていけていないように見えた。