■仙台はサッカーの原理原則で上回った
リードを奪った仙台は、相手3バックの背後を効果的に突いていく。右サイドで真瀬とFWエロンがコンビネーションを発揮し、いつもの右MFではなく左MFで先発した有田恵人がダイアゴナルランで3バックの脇のスペースへ走り込む。4-4-2と3-4-2-1のミスマッチを生かしながら、仙台は1点リードで前半を折り返した。
後半開始とともに、いわきFCが3-1-4-2へ立ち位置を変えてきた。仙台は攻撃の機会が前半より減ってしまうものの、プレー強度や球際の攻防で劣ることはない。決定的なシーンを許さずに時間を進め、73分に貴重な2点目を奪う。左CKをファーサイドのCB菅田真啓が折り返すと、左ポスト際の中島が胸コントールから素早く右足を振り抜く。相手選手がクリアしきれなかったボールが、ゴール内に吸い込まれた。
森山佳郎監督は交代カードを使いながらプレー強度や球際の激しさ、攻守の切り替えの速さなどを保つ。90分にはDFマテウス・モラエスを投入し、守備時は5バックとなる布陣で逃げ切りをはかる。2対0のまま終了のホイッスルを聞いたのだった。
試合後の森山監督は、「長澤がいなくなってチームがダメになったと言われたくなかった。一番強度の高いいわきに対して、ハードワーク、球際、切り替えといったところで負けなかったのが勝因」と話した。2点差での勝利は、4月13日のモンテディオ山形戦以来となる。
6ポイントマッチを制した仙台は、勝点を50に伸ばして4位に浮上した。5位のファジアーノ岡山とは勝点2差、6位のレノファ山口FCとは勝点3差と、J1昇格プレーオフ圏の争いは依然として拮抗している。そのなかで仙台は、8月の再開後は4勝1敗と勝点を伸ばしている。6戦負けなしと足踏みが続く3位のV・ファーレン長崎とは、ついに勝点3差まで詰めている。
J2リーグは残り9試合だ。J1昇格争い、J1昇格プレーオフ出場、J2残留とそれぞれにターゲットが異なるなかで、1試合の重みが増していく。仙台は3位の長崎をとらえ、清水エスパルスと横浜FCの2強に割って入ることができるのか。一戦必勝のメンタリティで、引き続き勝点を伸ばしていくことが求められる。