試合後、FW小林悠はすぐに動いた。大和ハウス プレミストドームの電光掲示板に0-2のスコアが浮かび上がる中で、サポーターに挨拶に向かう際のことだ。
小林は北海道コンサドーレ札幌との試合に79分から途中出場すると、サイドでの仕事を主とした。距離的にはゴールに最も近い場所ではなかったが、左サイドからのクロスが出た際にはゴール前に飛び込むなど、得点を奪う気持ちは持ったままだった。
90分を終えて得点を生み出すことができなかった札幌との試合後、このベテランストライカーはまず、FWエリソンと身振り手振りでコミュニケーションを取ると、次に声をかけたのがMF河原創だった。
河原はその会話を、「攻撃のところで、自分が縦パスを悠さんにさしたところの話をしてました。ポジティブな話です」と充実感を持って振り変える。
その縦パスとは、90分+40秒からの場面だ。このとき、エリソンが相手陣内でドリブルを仕掛ける。相手選手に潰されるも、その後方にいた河原がこぼれ球を回収。このとき、小林悠はエリソンに代わってペナルティアークに位置しており、相手DFはその背後からマークしていた。
それでも小林はボールを受ける準備を整えており、河原はそこにボールを届ける。右足で強く速いボールを選択。パスはやや浮きながらも、背番号11の足元へと届く。小林は足でのトラップを想定していたような腰の使い方だったが、それでも胸でトラップする。結果、ボールはやや前に落ちてしまい、札幌の選手がなんとかかきだした――という場面だ。